2013年2月13日水曜日

続、体罰について考える

1週間ほど前、「体罰について考える」というタイトルで、体罰を与えてよいケースといけないケースについて書きましたが、今回は、法的視点に立って書きたいと思います。

法的視点として今回登場するのは「学校教育法」です。
ということで、今回は学校の中での体罰に限定させていただきます。

学校教育法の第11条には、
「校長及び教員は、教育上必要があると認めるときは、文部科学大臣の定めるところにより、児童、生徒及び学生に懲戒を加えることができる。ただし、体罰を加えることはできない。」
と書かれています。
つまり、学校の中ではいかなる体罰も法的に許されないということです。

体罰容認論のひとつに、「部員の指揮を高めるのに有効だから」と言います。
こけは事実だと思います。
しかし、だからといって学校の中で体罰を行ってもよいことにはなりません。

むしろ、体罰の効果が高いので、正々堂々とした勝負の場では使ってはいけないものなのです。
なぜなら、法律で定められている以上、体罰により良い成績をあげるということは、ドーピングで成績をあげることと同じ違法行為だからです。

こうした視点で考えると、体罰をする側の問題だけでは、事は澄みません。
体罰を容認する学校関係者や部員の保護者も同罪です。
言うなれば、組織ぐるみでドーピングを行っているようなものです。

スポーツ界では、ドーピングが発覚すれば、おさめた成績が抹消されるという、厳しい処分が科せられます。
しかし、体罰があったからといって、このような処分は下されません。せいぜい体罰を行った監督が処分を受ける程度です。

学校教育の場で体罰を本気で無くそうとするのなら、世間の意識改革が必要です。
  • 体罰はドーピングと同じ
  • 犯せば成績末梢
くらいのキャンペーンをはるべきではないでしょうか。

最後に、どのような行為が体罰にあたるのかについて、政府の見解を紹介します。

「生徒に対する体罰禁止に関する教師の心得 昭和24年8月2日 法務府発表」
教育法で体罰禁止が規定されているが、最近児童生徒に対する体罰問題がやかましい折柄教師の児童懲戒権がどの程度まで認められるかについて宇都宮少年保護観察所で法務府当局と研究中であったが、二日当局から教師の心得として次の七カ条が明らかにされた。
(1)用便に行かせなかったり食事時間が過ぎても教室に留め置くことは肉体的苦痛を伴うから体罰となり、学校教育法に違反する。
(2)遅刻した生徒を教室に入れず、授業を受けさせないことは例え短時間でも義務教育では許されない。
(3)授業時間中怠けた、騒いだからといって生徒を教室外に出すことは許されない。教室内に立たせることは体罰にならない限り懲戒権内として認めてよい。
(4)人の物を盗んだり、こわしたりした場合など、こらしめる意味で、体罰にならない程度に、放課後残しても差し支えない。
(5)盗みの場合などその生徒や証人を放課後訊問することはよいが自白や供述を強制してはならない。
(6)遅刻や怠けたことによって掃除当番などの回数を多くするのは差し支えないが、不当な差別待遇や酷使はいけない。
(7)遅刻防止のための合同登校は構わないが軍事教練的色彩を帯びないように注意すること。

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